浜松市で幸福感あふれるまちづくりを!市民のWell-beingを考えるワークショップを開催しました
皆さんは「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉をご存知でしょうか?これは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を意味する言葉で、ひと言で表現するならば「幸福感」になります。
浜松市では、このWell-being(幸福感)あふれるまちづくりを目指しており、デジタル化と合わせたさまざまな取り組みを行っています。そんな中、2022年10月27日(木)、浜松らしい幸せな暮らしを考えるワークショップを市内で初開催しました。
官民連携プラットフォーム(※)の会員の方、大学生やNPO団体の方、市職員の計26名が参加し、多彩な意見が交わされた当ワークショップ。この記事では、当日の様子をお届けします。
(※)浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム
官(行政)と民(事業者等)の連携により、浜松市におけるデジタル・スマートシティの取り組みを推進していくプラットフォームです。
デジタルを活用した幸福感あふれるまちづくりが始まっています
誰もが幸せに暮らせるまちを実現するためには、Well-beingの視点は欠かせません。国が掲げる「デジタル田園都市国家構想」の中でも、地域で暮らす人々の心ゆたかな暮らし(Well-being)の向上と、それを持続可能とする仕組み・環境の整備(デジタル活用を含む)が謳われています。
このような中で、地域におけるWell-beingを計測する「Liveable Well-Being City指標(略称:LWC指標)」が公開され、デジタル田園都市国家構想の実現のために活用が始まりました。
LWC指標を活用することで、「身体的健康」、「社会的健康」、「精神的健康」にわたる 約140の指数から、市民のWell-beingに繋がる要因が可視化できます。
浜松市でも、このLWC指標で市民のWell-beingをデータとして捉えながら、誰もが幸せに暮らせるデジタル・スマートシティ浜松の実現を目指しています。幸福感あふれるまちづくりに向け、浜松市民のWell-beingを考えるために、今回のワークショップを企画・開催しました。
参考:デジタル田園都市におけるWell-Being指標の活用について
ワークショップの流れ
1.本ワークショップの開催趣旨とWell-beingのレクチャー
2.Decidim(デシディム)の使い方
3.「わたし」にとってのWell-being個人ワーク
4.わたしのWell-beingとまちづくりについて話そう
5.浜松の幸せな暮らしを想像し、創造するグループワーク
Well-beingのレクチャー:誰もが「このまちで生きる幸せ」を感じられる時代が始まっている
まず、浜松市フェローとして本市のまちづくりを支援する一般社団法人スマートシティ・インスティテュートの専務理事、南雲岳彦(なぐも・たけひこ)さんよりWell-beingに関するレクチャーがありました。
「LWC指標で分析すると、『浜松らしい幸福の形』が見えてきます。例えば、地域社会のつながりの強さや自然環境の豊かさは、浜松市ならではの強みです。一方で、Well-beingに高い貢献度があるといわれるモビリティ(移動の利便性)については、課題も見受けられます」
南雲さんは、LWC指標で地域ごとの現状がデータとして把握できるようになり、誰もが『このまちで生きる幸せ』を感じられる時代が始まっていると言います。
続けて「デジタル活用をあわせて進めることで、地方にいても都市部と変わらない利便性が実現できると期待されています。しかしながら、実際の暮らしの中で満足なWell-beingを実現するためには、市民の皆さんとの対話が欠かせません。時間をかけて話しあい『浜松で暮らす私たちの幸せは、こういうところにある』というゴールにたどり着いていただけたらと思います」と話してくれました。
参考:デジタル・スマートシティ浜松の取組 ~国土縮図型都市・浜松の挑戦~
ワークショップ:私たち浜松市民にとってのWell-beingとは?
南雲さんのレクチャーの後は、実際に浜松のWell-beingについて考えるワークショップを行いました。市民参加型の合意形成プラットフォーム「Decidim(デシディム)」を使って、ディスカッションを進めます。
・Decidim(デシディム)とは?
Decidimは、市民参加のためのデジタルプラットフォームです。2016年にスペインで誕生し、市民同士・市民-自治体のオンライン・コミュニケーションの場として活用されています。市民の皆さんはスマホやパソコンから意見を投稿や議論、投票などができ、それらの結果を政策決定に繋げられます。
・「わたし」にとってのWell-being個人ワーク
まず、浜松での日常において感じる「幸せな瞬間やエピソード」を参加者それぞれにDecidimへ投稿します。「自分らしい生き方」「地域における人間関係」「都市景観と都市機能」の3つの視点から、浜松の暮らしで感じるWell-beingを考察しました。
ちょっとした息抜きや休日に出かけられる身近な自然環境、浜名湖や中山間地域を中心とした観光資源、各地域で開催されるお祭りや花火大会、公園や医療機関といった暮らしに欠かせない施設の充実など、75のエピソードが集まりました。
・わたしのWell-beingとまちづくりについて話そう
続いて、テーブルごと3~4人のグループで、Decidimに投稿されたエピソードを見ながら自由に意見を交換します。
「私が、子どもを連れていける公園が豊富にあることや、学校の数が多いため抽選にならず体育館が借りられることを発表すると、市外出身の方から驚かれました。生まれも育ちも浜松の自分にとって当たり前だった風土や環境、施設なども、外から見るとこのまちならではの『幸福』だったのですね」
と、浜松の暮らしやすさに改めて気付いた浜松市職員も。多様な視点から意見をもらうことで、改めて気付くWell-beingもたくさんあるようです。
「このまちのWell-beingを改めて考えたことで、浜松を好きな気持ちを再認識できた」という感想が多く聞かれました。
・浜松の幸せな暮らしを想像し、創造するグループワーク
最後に、未来の浜松に向けた「浜松 Well-being 物語」をグループで1つずつ考え、Decidim上に投稿します。エッセイや小説のようなカジュアルな形式で幸せな暮らしを描いたストーリーが、6つ発表されました。
・僕が知った浜松のあたたかさ
・公園の滑り台とVRが繋いだ家族の絆
・この街でよかった~DXが命を救う~
・持続可能なお祭り
・浜松まで80km
・自然と最新技術が共存するまち「はままつ」
発表後にはストーリーへの人気投票が行われ、1位は「浜松まで80km」が選ばれました。趣味の楽器演奏を通じて仲を深めたカップルが、浜松市に移住し結婚に至るまでを描いたストーリーです。
自動運転機能を備えた電気自動車に乗り、静寂を求めて夜の船明ダム(天竜区)まで2人で出かけ、大きな自然に包まれながら音楽を奏でる場面が印象的でした。
参加者の声:浜松愛を再認識、まちづくりにおいて自分ができることを考える機会に
ワークショップを終えた参加者の方から、感想をお聞きしました。
参加者(自動車メーカー勤務):
市民の皆さんが、浜松の風土や自然環境だけでなく、浜松の企業にも思い入れを感じてくださっていることが知られてよかったです。中でもモビリティ(移動)の利便性向上に対する期待が高まっていると感じました。未来のクルマの技術・サービス開発において、(自動車関連の新サービス開発に携わる立場として)皆さんの期待に応えられるよう努力していきたいと思います。
参加者(子育て支援NPO勤務):
日ごろ子どもを連れて自宅周辺を歩いていると、近所の人が話しかけてくださる機会が多く、地域の方が見守っていてくれることに幸福感を感じます。浜松市では、親子の相談会や子育て支援広場など、子育てに関する情報共有や交流ができる場も増えています。そうした場を必要とする人に情報が届く仕組みをデジタルで拡充していけると、子育て世代のWell-beingにより繋がると思います。
参加者(国際交流・多文化共生推進機関勤務):
外国人の市民の皆さんから話を聞くと、浜松市は他の地域と比較しても住みやすいという声がよく挙がります。そのように全国においても多文化共生をリードしてきた浜松市が、Well-beingの取り組みを進めていることには期待が持てます。
外国人の皆さんが豊かに暮らすためには、まず言語の壁をクリアしなければいけません。デジタル技術により、多言語でスムーズに情報が発信・受信できる仕組みが整うと、誰もが幸せに暮らせる浜松のまちづくりにまた一歩近づくと思いました。
今回のワークショップは、それぞれの視点から浜松市のWell-beingを捉え、仕事や暮らしにおいて個々人ができることを考えていただく機会となりました。
今後も浜松市では、市民のWell-beingへの貢献度が高く、デジタルの恩恵が得られやすい次の4分野からWell-being向上の取り組みを続けていきます。
浜松市とともにデジタル・スマートシティの取組を推進する事業者を募集中
浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォームでは、多様な主体の積極的な参画と官民の連携により、浜松市におけるデジタル・スマートシティの取り組みを推進しています。本プラットフォームでは、デジタルを活用し、市民生活の質の向上や地域課題の解決に一緒に取り組んでいただける事業者を募集しています。
ぜひ以下のページよりご参加をご検討ください。