“予防・健幸(けんこう)都市”浜松のウエルネスをアプリで推進!1周年を迎えた「はままつ健幸クラブ」の取り組みを紹介
皆さんは2022年10月に浜松市が提供を開始したヘルスケアアプリ「はままつ健幸クラブ」をご存じでしょうか?
「はままつ健幸クラブ」は、ウオーキングや健康関連イベントへの参加など、日々の健康づくり活動がポイントとなるヘルスケアアプリです。iOS版とAndroid版があり、利用は無料です。利用するともらえるポイントに応じて、地元の特産品などが当たる抽選に申し込むことができます。
「はままつ健幸クラブ」は提供開始から1年が経ち、登録者数は1万1,000人(※)を突破して現在も増えています。「楽しく健康増進に役立っている」という声も寄せられており、多くの市民の健康増進に役立つアプリを目指しています。
今回は、担当部署であるウエルネス推進事業本部へ「はままつ健幸クラブ」の使い方や利用者のメリット、事業実施の思いなどを取材してきました。
(※)2023年11月の取材日時点
「はままつ健幸クラブ」の活用方法はさまざま
具体的には、どのように「はままつ健幸クラブ」を活用できるのでしょうか?
まずは、歩数に応じてポイントが貯まり、目標歩数を達成すると100ポイントが付与されます。
「目標歩数を達成するために、かなりの歩数を歩かなければいけないのでは?」「毎日歩けるか心配……」と思った人も安心してください。目標歩数は各自で設定できますので、ご自身のペースで健康づくりにチャレンジできます。
歩数以外にも、血圧・体重の記録や健(検)診の受診によってもポイントが貯まります。不定期配信ではありますが、アプリに届くコラム記事を最後まで読み終わると100ポイントを獲得でき、リアルウオーキング(スマートフォン)の位置情報を活用し、アプリ内のウオーキングコースを実際に歩くこと)や講演会などの健康イベントに参加することでもポイントが貯まります。
また、記録された血圧や体重は「グラフ」メニューで確認できます。このように「はままつ健幸クラブ」は、個人の健康状態を記録・確認するにも便利なアプリとなっています。
とはいえ、忙しい毎日のなかでは、健康づくりのモチベーションを維持する工夫が必要かもしれません。そこで、楽しみながら日々の健康活動に取り組んでもらえるような機能を加えました。
そのうちの1つが、ランキング機能です。全ユーザーを対象とした歩数順位を確認できるほか、特定のグループに絞ったランキングも見られます(※任意のグループと企業のグループ、それぞれ1つずつまで参加が可能)。
トップ画面では、浜松市のマスコットキャラクター「家康くん」がウオーキングを応援。さらに、アプリにログインするだけでも1日10ポイントが付与されるので、健康へのモチベーションを高めていただけます。
「はままつ健幸クラブ」の抽選で当たる景品は?
さて、貯まったポイントで抽選会に応募してみましょう! どのような景品が当たるか気になりますね。
2023年12月現在、以下の3つのプランに応募ができます。
Amazon健康支援商品券は、ネット通販サイトのAmazon(アマゾン)で健康関連商品に限って使えるギフト券のことです。地元の豊かな特産品と健康関連商品のセットも用意し、健康を意識していただけるプランとなっています。
景品の内容は予告なく変更となる場合があります。以下の「はままつ健幸クラブ」公式ホームページよりご確認ください。
「はままつ健幸クラブ」の登録方法は3ステップで簡単
「はままつ健幸クラブ」の登録方法をご紹介します。
まず、App Store/Google Playから「はままつ健幸クラブ」をダウンロードします。
続けてアプリを開き、スマートフォンに標準搭載されているヘルスケア/Google Fitの機能とアプリを連携します。そして、アプリ上でユーザーの新規登録を行えば、アプリの使用が始まります。
詳しい手順はiOSとAndroidで異なりますので、詳細を確認したい人は、以下のアプリマニュアルからインストール方法および初期設定をご確認ください。
担当者インタビュー「はままつ健幸クラブ」が幅広い市民に使ってもらえるアプリになるまで
提供開始から1年が経ち、「はままつ健幸クラブ」の登録者数は1万人以上となりました。不定期で実施しているアンケート調査でも、ユーザーの皆さんに有効活用していただいていることが伺えます。
どのような背景で、「はままつ健幸クラブ」は企画されたのでしょうか? 使っていただけるアプリになっていった過程とあわせて、浜松市 ウエルネス推進事業本部の水野勝久(以下、水野)主任に聞きました。
幅広い市民の方が健康づくり活動に取り組みたくなる仕組みを目指して
――はじめに、「はままつ健幸クラブ」を企画・運営しているウエルネス推進事業本部について教えてください。
水野:ウエルネス推進事業本部(以下、当事業本部)は、市民が健康で幸せに暮らすことができるとともに、産業など地域の発展を市民が支える都市「予防・健幸都市(ウエルネスシティ)」の実現に向け、2023年4月に新設された部署です。
浜松市は、大都市別の健康寿命で全国トップクラスを誇ります(※)。この強みを伸ばし、市民の皆さんが健康で幸せに暮らせる都市を構築・持続しようと、当事業本部では「浜松ウエルネスプロジェクト(以下、当プロジェクト)」を推進しています。
※厚生労働省の研究班が実施した調査より。女性は4期連続(2010年、2013年、2016年、2019年)で1位、男性は3期連続(2010年、2013年、2016年)で1位になりました。
予防・健幸都市の推進にあたり、当プロジェクトの地域推進組織である「浜松ウエルネス推進協議会」と、地域内外の企業・団体と社会実証事業を実施しデータやエビデンスを取得・蓄積する「浜松ウエルネス・ラボ」の2つの官民連携プラットフォームを組織しています。
また、当プロジェクトでは、主に3つの事業を行っています。3つの事業とは「市民の健康寿命の延伸」「地域企業の健康経営の促進」「ヘルスケア産業の創出」です。
1つ目の「市民の健康寿命の延伸」は、全国トップクラスである本市の健康寿命をさらに伸ばすため、フレイル(※)予防や野菜摂取量の増加推進などの事業を官民連携で行っています。
2つ目の「地域企業の健康経営の促進」は、地域企業の健康経営を促進するため、健康経営の認知度向上や、企業へのサポートなどを行っています。ちなみに「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。健康経営には従業員の活力向上や生産性向上の効果があり、企業価値向上につながるとされています。
3つ目の「ヘルスケア産業の創出」では、スタートアップ推進課と連携しながらヘルスケア分野におけるスタートアップ企業の支援を行うほか、ヘルステック企業と地域企業などの協業促進や、全国に向けた当プロジェクトの情報発信を目的とした「浜松ヘルステックシンポジウム」の開催などを行っています。
――どのような経緯で「はままつ健幸クラブ」は生まれましたか?
水野:予防・健幸都市(ウエルネスシティ)の実現には、市民の皆さんの健康がもっとも大切です。市民の皆さんが健康づくりに関する取り組みを楽しみながら継続できるようにしたい。すでに健康意識が高く、健康づくりに取り組んでいる人はもちろんですが、そもそも健康体であるなどの理由から、健康に無関心である人(健康無関心層)に対して行動変容を起こしたいと考えています。
特に若年層は、壮年期以降の世代と比較して健康意識が高い人ばかりではないことが課題です。予防・健幸都市(ウエルネスシティ)を実現するためには、こうした健康無関心層に該当する皆さんにも早くから健康意識を持ってもらうことが重要です。
また、より多くの人に「浜松ウエルネスプロジェクト」を知り参加してもらい、健康意識を醸成したいと考えていました。
そこで、健康無関心層を含めた市民の皆さんが楽しく健康に取り組めるアプリを作ろう、と検討を重ねてたどり着いたのが「はままつ健幸クラブ」の今の形です。
――歩くとポイントが貯まるアプリの発想は、若年層や健康無関心層の皆さんの健康意識を高めたいという背景から生まれたのですね。
水野:企画当時の記録を見ると、「歩くとポイントが貯まるアプリ」というよりも、「楽しみながら健康につながるアプリ」を目指してきたのだと思います。日々の生活のなかで気軽に触れられて、楽しく取り組める仕組みにしよう、と。
「このアプリによって、市民の健康に本当に貢献できるのか?」といった議論は、何度も行われたそうです。そして、市民の皆さんに長く使ってもらえるアプリとなるよう、見やすく分かりやすい画面なども設計していきました。
――市民の健康ニーズは多様化しています。この点において、意識したことはありますか?
水野:1つのアプリですべてのニーズに応えていくことは難しいかもしれません。ですが、市民の皆さんと市が相互に情報をやり取りできる仕組みにすることで、多様なニーズを拾える可能性があります。
例えば、「はままつ健幸クラブ」を通じてユーザーアンケートを行っています。また、プッシュ通知を活用することで、市からダイレクトかつリアルタイムに健康情報を伝えることができます。
市民の皆さんの多様な健康ニーズを拾ったり、市からのお役立ち情報を届けたりするといったことにも「はままつ健幸クラブ」を活用していきたいと考えています。
利用者が増えている背景には地道な広報活動が
――登録者数が1万人以上となり、今でもダウンロード数が伸びていると聞いて驚きました。どのようにして登録者数が増えていったのですか?
水野:意外に思われるかもしれませんが、地道に広報活動をしています。間接的、直接的に2つの施策に取り組んできました。
1つ目は、広告・PR活動です。ポスターやチラシによるアナログ的な広告だけでなく、検索エンジンやSNSなどデジタルを活用した情報発信も並行して行っています。
2つ目は、市内のさまざまな施設で開催されるイベントなどに合わせアプリの登録カウンターを臨時出展し、アプリの説明から登録のサポートまでを行っています。
登録カウンターは、例えばJR浜松駅直近のギャラリーモール「ソラモ」で開催した「浜松リノベーションフェスティバル(浜松市のリノベーションまちづくりを体感できるイベント)」だけでなく、「浜松ウエルネス推進協議会」の参画企業とタイアップしショッピングセンターなどにも期間限定で出店しています。市職員が出張している場合もありますので、見かけたらぜひお立ち寄りください。
――アプリのリリースから1年が経ち、今の手ごたえをどのように感じていますか?
水野:おかげさまで登録者数は増加傾向にありますが、認知度が低いのは課題だと考えています。市でアンケート調査を行ったところ、「はままつ健幸クラブ」の認知率は市民の約3パーセントに留まっていました。市民の総数を約80万人とした場合、2万4,000人にしか届いていない計算になります。まだまだ低い数字です。
一方で、「はままつ健幸クラブ」の登録率は高いといえます。アプリの登録者数は1万人を超えているため、アプリをしっかり認知した2万4,000人のうち、1万人が登録しているということになります。登録率を計算すると約42パーセントにのぼります。
まだまだ「はままつ健幸クラブ」には伸びしろがあるということ。より多くの市民の皆さんに「はままつ健幸クラブ」を知ってもらえる機会を増やしていきたいです。
――認知度の向上や登録者数の増加のために、企画していることはありますか?
水野:2023年10月の1カ月間、リリース1周年を記念したキャンペーンを行いました。登録カウンターの設置やPRを強化し、景品の拡充や当選率アップなどを実施したところ反響は上々でした。
こうした結果を受けて、今後はアプリを活用したくなるような機能や情報発信の強化などを行っていけたらと思います。健康無関心層や若年層だけでなく、働き盛りで忙しい30〜40代の方でも、日々楽しく使っていただけるアプリを目指していきます。
――最後に、市民の皆さんへメッセージをお願いします。
水野:私たちの健やかで豊かな暮らしを支える一番の資本は健康です。そして、産業都市でもある浜松市が今後も持続的に発展していくためにも、市民の皆さんの健康が欠かせません。
過去のアンケートでは、「アプリを入れたことによって、歩く機会が増えた」と答えた人が約40パーセントにのぼりました。アンケートの返答率も高く、よく活用されているアプリだと感じます。
「はままつ健幸クラブ」を知らなかった市民の皆さんも、これを機会にぜひダウンロードしていただけるとうれしいです。
アプリを使って健康づくりに取り組んで健康とポイントを手に入れよう!
「はままつ健幸クラブ」は、毎日の健康づくりがポイントになる浜松市公式のヘルスケアアプリです。ウォーキングや健(検)診の受診といった健康づくり活動や、健康に関するイベントへの参加によりポイントが貯まります。体重・血圧などの記録をグラフで分かりやすく把握でき、個人の健康管理にも活用いただけます。
「はままつ健幸クラブ」はiOS(iPhone)とAndroidでダウンロードでき、利用も無料です。健康の管理・増進に役立ててみてはいかがでしょうか?
アプリのダウンロードは以下のURLより。
iOS(iPhone)版
Android版
はままつ健幸クラブ浜松市公式サイトは以下より。
文/デジタル・スマートシティ推進課