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特技を磨けば夢が生まれ!夢を諦めなければ夢は叶う!〜衣笠明宏さん〜

広報はままつ2024年5月号の「LOVE SPORTS」では、陸上の長距離選手として実業団で活躍し、その後実業団の女子駅伝競走部の監督を務められた衣笠明宏さんに、アスリートの育成・サポートについて、お話しを伺いました。今回のnoteでは、広報の紙面では紹介しきれなかった内容も併せて紹介します!

衣笠明宏さん
兵庫県立西脇工業高等学校出身
本田技研工業㈱浜松製作所陸上競技部(14年間所属)
㈱ユタカ技研女子駅伝競走部の監督(13年間)

監督退任後は、市民ランナーのためのランニングクラブの監督をはじめ、ボランティアで若手アスリートの育成活動に従事するなど、後進の育成に尽力。現在は損害保険ジャパン㈱に勤務する傍ら、講演活動やマラソン大会のペースメーカーなどを務めている。

今でも、指導者として女子長距離アスリートを世界へ羽ばたかせたい、強い気持ちがある。 県内の中で、女子長距離部を立ち上げる企業があることを願っている。





Q.衣笠さんが陸上を始めたきっかけを教えてください

中学3年生の7月までは野球部でした。野球部の活動が終了した後、校内陸上競技大会3000mで陸上部に次いで2位に入賞しました。この入賞がきっかけで、陸上部から駅伝に向けて入部の話があり、夏休みから陸上・長距離を始めることになりました。出場した駅伝大会では 、兵庫県大会の予選会で優勝(区間賞獲得)し、県大会でも優勝することができました。その後、兵庫県立西脇工業高校の渡辺公二先生からのお誘いがあって、本格的に陸上・長距離に打ち込むことを決心しました。


Q.高校卒業後も長距離を続けたいと思った理由は何ですか?

高校時代は選手層の厚さで、インターハイの正選手に選ばれませんでした。 しかし、選ばれた選手たちは県予選・県大会・近畿大会を勝ち抜き、全国インターハイに長距離種目で 6名出場し、全ての選手が決勝まで進み、入賞する選手もいました。 当時、私は正選手と比べて劣っていましたが、周りの活躍の刺激で実業団で勝負することを決めました。

駅伝では県大会で報徳学園高校(報徳学園は全国初優勝)に負けて、全国大会に出場出来なかっ た悔しさを盾にして、実業団で勝負してやる!強い気持ちが生まれました。 本田技研工業㈱浜松製作所に入社し、1年目から9年連続で全日本実業団駅伝に出場しましたが、27歳の時に大きなケガをして、31歳のときに現役を引退しました。

競技引退後は、所属企業に社員として残る道もありましたが、結果で判断される世界で勝負してみたいと思い、所属企業を退社して㈱ユタカ技研女子駅伝競走部の指導者として新たな人生を歩み始めました。



実業団時代の衣笠さん



Q.実業団の監督として、常に心掛けていたことを教えてください。

競技者として選手の人生を豊かにするのは指導者次第です。そこで監督時代は「サーバントリーダーシップ」を心掛けてチーム作りをしていました。

監督が怖くて、言われるがままに練習をしてきた選手と、気軽に監督に話しかけることができる環境で練習してきた選手では、練習に対する取り組む気持ちが全く違います。選手のことを親身になって考え、そして、どんなときも一緒に取り組んでいくことで選手との信頼関係が構築されていくと信じています。

私が実業団の監督に就任したのは25年以上も前のことです。当時は支配型指導が当たり前の時代でしたので、アスリートファーストを掲げていた私は、周囲から見ると異端児に見えていたかもしれませんが…。

※サーバントリーダーシップとは、部下などに対して指示や命令をするのではなく、奉仕したうえで、目標を達成できるよう主体的な行動を促すリーダーシップのこと


Q.選手を指導していて、伸びる選手と伸びない選手の違いは何だと感じていましたか。

その競技(スポーツ)が本当に好きで楽しいと選手自身が思っているかどうかがとても大切だと思います。どんなにいい記録を持って入部してきた選手でも、練習をさせられていると思っている間は、記録が伸びない傾向にありました。

アスリートに限らず、人は好きなことや楽しいことに対しては、時間を忘れてしまうほど熱中し、またチャレンジ精神も生まれてきます。競技に向き合う姿勢も同様で、その競技が大好きで、練習をしているときや、試合のことを考えているときが楽しいと思うことができれば、どんな困難も乗り越えようとする選手に成長していくと思います。


Q.競技者として長く現役で活躍していくために必要なことは何だと思いますか。

コンディショニング作りがとても大切だと思います。長距離選手の中には、無理な体重管理を続けた結果、骨密度が低くなり、疲労骨折を繰り返し発症してしまう選手が多くいます。せっかく期待されていても、けがの連続で満足な結果を残せないまま引退してしまう選手を多く見てきた経験から、実業団の監督時代には、医療機関などと連携して、貧血のチェックをはじめとした、さまざまなメディカルチェックと栄養管理を徹底して行っていました。

また、練習前には必ず30分のセルフコンディショニングチェックを行い、日々の体の変化に選手自身が気付くことができるようにしていました。自己管理能力が高まることで、選手の意識や日頃の行動なども変わっていくようになりました。

Q.長距離の魅力とは何ですか?

走った距離はウソをつきません。走った分だけ、苦しさ、辛さを感じながらも自分自身に勝っています。 人に勝つ前に、自分自身勝てば自分自身を信じることができます。『自分を信じれば』結果は間違いなく出ます!


サロマ湖100kmマラソンでゴールしたときの衣笠さん(左)


Q.目標に向かって頑張っているアスリートにメッセージをお願いします。

競技を続けていくうえで大事なことは「他喜力」を持っているということ。他喜力とは、他人を喜ばす能力を意味していて、自分を支えてくれている人たちを喜ばせたい、多くの人に感動や勇気を与えたいという気持ちを持ち続けることが、夢が叶うための第一歩だと思います。

そして、もう一つの大事なことは、成功した自分を描けること。トップアスリートとは、素質がある選手だと思っている人が多いと思いますが、私が思うトップアスリートとは、将来の目標を達成する自分を思い描けるイメージ力が他の人よりも優れている選手だと思っています。そのイメージ力が低い人ほど心理的限界(できないと思ったところ)が早く訪れます。努力家の人ほど限界だとは言いません。真の限界は、自分が「もう限界」と思ったはるか先にあるのです。


衣笠さん、インタビューに応じてくださりありがとうございました!

この記事は、インタビュー当日(2024年3月)時点の内容で作成しています。

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