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2023年度創設、はままつ Well-Being アワード表彰式を開催しました

浜松市では、官民連携でWell-Being(※1)を感じられるまちづくりを推進しています。地域幸福度(Well-Being)指標(※2、以下:Well-Being指標)をはじめとする客観的な指標を用いながら、さまざまな取り組みを行っています。

そうした中で、企業や団体のWell-Beingに関する活動に光を当て、その取り組みを顕彰することで官民連携によるWell-Beingなまちづくりをさらに促進していけるよう、2023年度「はままつ Well-Being アワード」を創設しました。

はままつWell-Beingアワードでは、企業や団体の取り組みについて、「幸福感向上のストーリー」の具体性や、地域の幸福感向上への波及効果がどれくらいあるかといった観点で評価しています。

アワード応募者は幸福感向上のストーリーについて文書による説明だけでなく、取り組みがどのように地域の環境や市民の行動に変化をもたらし、それにより市民の幸福感によい影響を与えているかを視覚的に表した「ロジックツリー」も使って説明します。

この記事では、2023年10月11日(水)に開催したはままつ Well-Being アワード2023の表彰式の様子や、受賞された6件の取り組みをお伝えします。


※1 Well-Being(ウェルビーイング)|身体的・精神的・社会的に良好な状態を意味する言葉で、ひと言で表現すると「幸福感」を指す。

※2地域幸福度(Well-Being)指標|Liveable Well-Being City指標の通称であり、地域幸福度を計る指標。客観指標と主観指標の両データから、市民の「暮らしやすさ」と「幸福感(Well-being)」を数値化・可視化したもの。




事業や活動がWell-Beingに波及、全6件の受賞企業・団体を紹介

はままつ Well-Being アワードは、「インパクト賞」と「デザイン賞」の2部門で構成されています。

はままつ Well-Beingインパクト賞 2件

インパクト賞は、Well-Being指標やアンケートをはじめとする企業・団体独自の指標を用いて、市民の幸福感向上への効果測定まで行っている取り組みが対象となります。インパクト賞は3件の応募があり、2件が選出されました。

・認定NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ
「取材ママ・パパ特派員が自ら伝える、子どもの記憶に残したい浜松の『子連れでおでかけ』ブログ」

・一般社団法人 One Smile Foundation
「笑顔が寄付に変わる『スマイラル!』」


受賞者にはNFT(※3)を活用したデジタル表彰状を贈呈。

※3 NFT(エヌエフティー)|Non Fungible Tokenの略で、非代替性トークンのこと。デジタル制作物などに付与され、その作品が唯一無二であることを証明する技術。


1.取材ママパパ特派員が自ら伝える「子連れでおでかけ」ブログ|認定NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴ

引用:子連れでおでかけブログ

同法人が運営する「浜松市子育て情報サイトぴっぴ」上では、子育て世代が子供と出掛けた先での体験をレポートする「子連れでおでかけ」ブログを運営しています。

「取材ママ・パパ特派員(以下、取材ママ・パパ)」を担うボランティアスタッフがブログを作成。親子で出掛けた場所の様子や感想を親目線で発信しています。

ブログの更新頻度は、ほぼ2日に1回。取材ママ・パパは例年25名程度が活動し、2023年度は35名が取材を行っています。子供の年齢に応じたお出掛け情報を届けます。


取材ママ・パパ向けの文章作成講座やカメラ講座、交流会なども開催。2023年度の取材ママ・パパ募集ページより。

「子連れでおでかけブログ」を参考にしてきた読者が、今度は自分もお出かけ情報を発信する側になりたいと取材ママ・パパに応募する流れが生まれました。「自分の書いた記事が読者の役に立っている」という自己肯定感が、取材ママ・パパの幸福感向上につながっています。家族のお出掛けが増えることで浜松地域に対する子供たちの愛着が育ち、また、ブログに掲載された施設や店舗では、子育て中の親子が訪れる機会が増えることで、子育て世代により優しいサービスを始めるところもあります。


子連れでおでかけブログは18年の運営期間を経て、子育て世代の市民によるWell-beingな循環を生み出す事業になっています。



2.笑顔が寄付に変わる「スマイラル!」|一般社団法人One Smile Foundation

「スマイラル!」は、タブレットやスマートフォンなどで笑顔をカウントし、「1笑顔=1円」の寄付が発生する仕組みです。高齢者や障がい者、病人など、あらゆる人の社会貢献が可能になり、自尊心や自己肯定感の向上につながります。

利用者本人は、「自分の笑顔が寄付に変わる」体験により笑顔の回数が自然と増えます。家族は、利用者の笑顔が見られる安心感を得られるとともに、利用者や施設とのコミュニケーションを取るきっかけを得ることにもつながります。施設スタッフなどの支援者は、仕事に対する誇りやモチベーションを得ます。


このように「スマイラル!」は、社会を構成するあらゆる人々に「他者への貢献意識」や「他者とのつながり」を感じられる機会を提供し、笑顔であふれたまちづくりに貢献しています。

▼関連記事:2021年度に行われた「スマイラル!」の実証実験

【前編】浜松市では、官民連携でデータ連携基盤を活用したサービスの実装に取り組んでいます!



はままつ Well-Beingデザイン賞 4件

デザイン賞は、具体的な幸福感向上のストーリーがあり、市民の幸福感向上が見込まれる取り組みが対象となります。7件の応募があり、4件が選出されました。

・DP SIM Support
「スマホ相談所の運営(高齢者のデジタル活用サポート)」

・株式会社杏林堂薬局
「買い物支援事業『とくし丸』」

・株式会社遠鉄ストア
「遠鉄ストアの移動スーパー」

・サーラE&L浜松株式会社
「~暮らしを豊かにする特別なセミナー~『サーラプレミアムセミナー』の開催」


1.スマホ相談所の運営|DP SIM Support

スマホ相談所(高齢者のデジタル活用サポート)は、浜松市内の中山間地域で開催しているスマートフォン利用に関する困りごと相談所です。デジタルに不慣れとされる高齢者世代を中心に、スマートフォンの操作案内や不安点の払拭、使い方に合った料金プランの相談などを実施しています。

元は理容室だった空き家をリノベーションしたスマホ相談所(店名:FRONT GATE)

天竜区水窪町での実店舗運営をはじめ、天竜区佐久間町や天竜区春野町にも出張し、連絡手段としてだけでなく情報獲得手段としてのスマートフォンの必要性を丁寧に説明しています。これにより、「よく分からないから怖くて使えない」から「安心して利用できる」への気持ちの変化が起きています。



デジタルやオンラインサービスによる生活の不便解消や、選択肢の拡充による充実感などを生み、中山間地域に暮らす皆さんのWell-Beingに寄与しています。

▼関連記事:2022年に行われたスマホ普及の新たな仕組み事業

住民から住民へスマホの使い方を教えます! 水窪町でスマホ普及の新たな仕組み、デジタル人材の育成事業がスタート



2.買い物支援事業『とくし丸』|株式会社杏林堂薬局

食料品や日用品の買い物に不自由している人の自宅前に、トラックに積んだ約400品を届けてくれる杏林堂薬局のサービス「とくし丸」。ほしい商品の希望を伝えることもでき、利用者の「次はアレ、持ってきてよ!」に応えています。

食料品や日用品のほか、おせちや焼き芋、大人用介護おむつなど、大型ドラッグストアを経営する杏林堂ならではの品揃えで買い物の楽しみを提供。また、とくし丸の訪問が利用者にとっては自宅の外に出る機会となり健康向上に。週に1~2回訪問することで、ドライバーとの会話が利用者のストレス解消になっています。

利用者が自分の意思で欲しいものを選べることで、利用者の自己肯定感が高まります。また、ドライバーや買い物に来たご近所の方とのやりとりが話の種になり、家庭の中での会話も増え、家族関係にもよい影響をもたらすことが期待されます。



3.遠鉄ストアの移動スーパー|株式会社遠鉄ストア

スーパーマーケットへのアクセスが困難な人の自宅へ、生鮮商品や一般食品を積み込んだ移動スーパーが訪問。遠鉄ストアの移動スーパーは週に1~2回、利用者宅(一部、施設など)を訪れます。遠鉄ストアで販売している商品のうち約400品を、楽しい会話とともに購入できる機会を提供しています。

「遠鉄ストアのおいしい話」より


特徴的なのは、「はままつあんしんネットワーク」の協業企業として、行政や他企業と連携しながら高齢者の見守り役を担っている点です。安否確認のほかにも、例えば移動スーパーのドライバーが利用者の話し相手となることで、「安全・安心なまちづくり」に寄与しています。


また、近隣の磐田市や湖西市など、移動スーパーの訪問するエリアを浜松市以外にも拡大することで、たくさんの人の買い物の助けになっています。日常の買い物に不便がなく、困ったときに相談できる人が身近にいる地域づくりにより、Well-Beingの向上が期待されます。


4.暮らしを豊かにする『サーラプレミアムセミナー』の開催|サーラE&L浜松株式会社

サーラグループではサーラE&L浜松株式会社を中心に、子育てしやすい地域と持続可能な社会の実現を目指し、「サーラプレミアムセミナー」を2018年より年1回ずつ開催しています。幸せな生き方や子育てに関する著名人による講演会や、生物多様性やカーボンニュートラルに関する講座など、親子で学べるセミナーを開催してきました。

2023年7月に開催された「親子で学ぼう!SDGs」


子供たちにとっては、普段の学校生活ではできない体験に触れ、主体的に体験学習する機会となっています。親にとっても、生物多様性や省エネルギーといったテーマの理解を深める場に。参加者がセミナーで得た気付きを身近な人へ話したり、SNSで発信したりすることにつながっています。


これにより、地域の子育て世帯の親同士で気付きを共有しあう循環が生まれつつあります。市民が豊かな暮らしについて考え、行動することにつながり、子育てしやすい地域と持続可能な社会が実現していくと期待されます。



浜松市長はじめ関係各者のメッセージ

授賞式を終えて、中野祐介浜松市長(以下、中野市長)とWell-Being指標の開発・普及に取り組む一般社団法人スマートシティ・インスティテュートの専務理事であり、浜松市フェローの南雲岳彦さん(以下、南雲さん)は、次のようにメッセージを送りました。


中野市長:昔から浜松の強みは、自治体をはじめとする地域のつながりが強いことと言われ、Well-Being指標で見てもそうした強みが如実に表れています。地域・民間の皆さんにこうして取り組んでいただいていることが、浜松の幸福感向上につながっているのを感じます。安全・安心で豊かに暮らせるまちづくりを推進すべく、これからもご協力をお願いします。



南雲さん:全国の自治体に先駆けWell-Being指標を活用したまちづくりに取り組んできた浜松市ですが、今日は、民間企業の皆さんの取り組みもこの地域に幸福感の伝播を生んでいることを実感しました。中野市長のリーダーシップのもと、Well-Beingの取り組みが浜松、全国、世界へ広がるよう、私も尽力していきたいと思います。



続けて、認定NPO法人はままつ子育てネットワークぴっぴの理事長 原田博子さん(以下、原田さん)、一般社団法人One Smile Foundationの掛下大規さん(以下、掛下さん)のお二人に受賞者を代表して感想をいただきました。

原田さん:「ぴっぴを参考に子供と出掛け、よい思い出ができた」という読者が、「今度は自分たちもお出かけ情報を発信したい」と特派員に応募してくれる流れができました。今では本当にさまざまな立場の方が、「子供の記憶に残したい浜松」を書いてくれます。子育て世帯の意識をつなぐ、このよい流れを今後も広げていけたらと思います。



掛下さん:2021年度のHamamatsu ORI-Projectに採択され、浜松市内の介護施設やプロスポーツ団体などと実証実験を行いました。そうした取り組みのおかげで「スマイラル!」のサービス化が叶い、今では市外の自治体や国外からのオファーをいただくようになりました。笑顔という誰でもできるシンプルな善き行動が自然と増えることで、やさしい場所や地域を増やしていけたらと思います。


文:浜松市デジタル・スマートシティ推進課


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